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    “EAT ME, DRINK ME”

栄養と料理・編集長ノート ♯4 / 浜岡さおり

女子栄養大学出版部発行の月刊誌「栄養と料理」の現役編集長による連載。日々更新されている栄養や健康に関する情報や、料理レシピにまつわるあれこれを、編集長の日々とともに綴っていきます。

食と健康は科学?

今の自分は昨日までに食べたもので充分元気だけれど、新しい食べ物が目の前にあると欲が出てつい期待してしまう。

「〇〇は体にいいけど、××はダメ」とか、なんとなく食べ物をランクづけしてしまいがちですが、その根拠について考えてみたことはありますか?

食と健康の関係は「科学」です。
現在の情報は、すでに見つけられた真実かもしれないし、その途上であるかもしれない。
今こうしている間にも、数多くの研究者が真実を求めて研究を設計し、協力者を集め、調査し、論文にまとめています。そうした成果をさらに精査したうえで、「●●と○○は関係があるかもしれない」というような歯切れの悪い結論が出ることも、よくあることです。

ところで、みなさんは食と健康の関係を明らかにするための調査というものがあるのをご存知ですか?
食事を記録するだけのこともあれば、血液や排泄物を提供したり、定期的な身体検査が必要な場合もあります。それは1日限りではなく、数日間だったり、数か月だったり。体調が悪くなれば、その研究のデータとして使われないこともあります。しかし、対象者の数がある程度集まらなければ、広く使えるデータにはなり得ません。人間の体を使った研究は、容易ではないのです。

また、人間の生活では、男女の違いや年齢の違い、住む場所や体質、環境との関係など、さまざまなことが複雑に絡み合って、ある結論が出るのが現実です。こうした背景をふまえると、新製品のように次々出てくる「〇〇は●●に効く」といった情報や、白黒はっきりした情報というのは、ちょっと怪しいような気がしてきませんか?

「食や健康の正しい情報はどこにある?」と迷ったら、まず東京大学大学院教授である佐々木敏(さとし)さんの著作をおすすめします。

著者が旅した国で起こった食べ物と健康の問題や課題、そしてそれを解決するために行なわれた研究や取り組みとともに、さまざまな栄養疫学研究によって明らかにされた、生活習慣病を中心にした話題を紹介。

佐々木さんが担当する「一枚の図からはじめるEBN 佐々木敏がズバリ読む栄養データ」という記事は2011年4月号からの長寿連載ですが、来月発売予定の7月号で100回を迎えます。毎月誌面でくり広げられる栄養データの話題は、一見専門的ですが、けっして専門家のためにあるものではありません。

 

さらに広い視野から食と健康の関連に触れた一冊。その冒頭、「本書全体をお読みくだされば、『食と健康』の知識が豊かになるだけでなく、あなた自身の食生活がさらに健康的なものになることを保証いたします」と著者。

コレステロール値が高くなって気になる人、糖質制限をしてみようかなと思っている人、お酒は好きだけど健康も心配という人、そんなに食べていないのに太っちゃったという人など、自分の健康が気になる人ならだれもが「知りたい」と思うようなことを、きちんと知ることができる貴重な情報源ともいえるでしょう。
私自身、佐々木さんの連載の原稿を読むのが毎月の楽しみになっています。
食べ物と健康の関係は複雑です。解き明かされる意外な事実。まるで推理小説を読み進めるかのごとく、ちょっと予測してはみごとに裏切られ「事実は小説よりも奇なり」と感じることもしばしば……。

さて、そんな読み物以上に面白いのが佐々木さんの語り。6月にはその真骨頂が体験できる、貴重な機会が訪れます。ぜひお見逃しなく!


★5月9日発売「栄養と料理」2019年6月号の特集は、「いつまでもおいしく食べたい」。全国書店ならびにAmazonにて。

浜岡さおり

浜岡さおり

1974年生まれ。長野県出身。
大学で栄養学を中心とした食と健康にまつわる様々な学問に触れる。


女子栄養大学出版部で書籍と雑誌の編集に携わること20年超。


現在、月刊誌『栄養と料理』編集長。特に中高年に向けて、生活習慣病を防ぐ食生活や健康管理に役立つ情報を発信している。


ガールスカウト出身。自然に親しみ尽くした若き時代の反動か、現在は都内マンションでアーバンライフ?を送る。食べることが好き。テニスも好き。

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