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栄養と料理・編集長ノート ♯5 / 浜岡さおり

女子栄養大学出版部発行の月刊誌「栄養と料理」の現役編集長による連載。日々更新されている栄養や健康に関する情報や、料理レシピにまつわるあれこれを、編集長の日々とともに綴っていきます。

肥満者は増えているの? 減っているの?

気がつけば半袖の季節です。しまいこんでから数ヶ月経った衣類の中には「あれ、こんなにきつかったっけ?」なんてものがあったり、体格の変化にも気づくタイミングともいえるでしょうか。

なにかと日常会話に出てきがちな「ダイエット」。小誌でも夏といえばお決まりのテーマで、人気があります。「メタボ」はもはやだれもが知る言葉となりましたが、その名称ができたばかりのころは、周知するための解説を原稿として何度書いたことか……。さて、ここ10年の肥満者、BMI(*1)が25以上の割合は、20歳以上の女性で2割前後、男性で3割前後を推移していて、さほど変化がないようです。ちなみに、男性はどの年齢もそう大きく変わらないものの、女性では20〜29歳の肥満者の割合が5.7%とすこぶる低く、加齢とともに増えていって最も多いのが70歳以上(*2)なんですね。ご存じでしたか?

おいしいものは元気の源です。食べたいものをがまんせずに理想の体型を維持できたら……と願う女性は少なくないでしょう。

「やせ」と「肥満」のリスク

以前、体脂肪を減らす運動の取材で大学に行き、学生さんの授業を見せてもらったことがあります。20歳前後の若い学生たちが自分の体力測定をして目標設定し、何ヶ月かかけて実践し、レポートするというプログラム。当時、小誌の企画でも他誌でも「筋肉」が注目されていたので、彼女たちがどんな体作りに興味があるのかと思って先生に聞くと、ほぼ全員が「体脂肪を減らすこと」を目標にしていると。しかも、過去に受講した学生たちも皆そうだったというのです。

しかしながら、前述のとおり20歳代は肥満も少ないし、むしろ「やせ(BMI18.5未満)」が21.7%(*2) であることが懸念されています。というのも、若年女性のやせは、骨量減少のリスク(将来、骨粗鬆症になりやすい)や低出生体重児出産のリスクとの関連(※3)があることのほか、低出生体重児は将来生活習慣病になりやすいという説(※4)もあるからです。

翻って中年の場合。内臓脂肪は加齢とともに増加するものなので、30歳を過ぎたら定期的に体組成をはかる、健診を受けるなどして体の変化を見守ることをお勧めします。なぜなら、実感はあてにならないから(笑)。
多少サイズが変わっても融通がきく衣類を選ぶようになっていれば、なおさらです。
「肥満は万病の元」ともいわれ、特に内臓脂肪がたまりすぎると血糖値が高くなったり血圧が高くなったり、ひざが痛くなったり睡眠時無呼吸症候群など、さまざまな病気につながることは事実です。中年期の肥満は高齢期の認知症発症のリスクとなる一方で、65歳以降にBMIが減少する傾向もあるので、子どものときから太めの人は中年期の肥満に用心し、やせ型の人は妊娠前と高齢期にやせすぎないよう注意するなど、「自分の体質」を見きわめた対策が重要だといえるでしょう。

以下は参考までに。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)が定める、
目標とするBMIの範囲(18歳以上)です。

18〜49歳 18.5-24.9
50〜69歳 20.0-24.9
70歳以上 21.5〜24.9

今月号の別冊付録はダイエットおかず38品と500kcalの7献立に加え、健康管理に役立つ情報が書き込める7月~12月のカレンダーつき。

自分に合ったダイエットを見つけよう

歴史をさかのぼると、じつにさまざまなダイエット法がありますが、注目する食品や栄養素が違うだけで、要は「食べる全体量」、より詳しくいえば「摂取エネルギー量」を減らすことを狙っている点が共通しています。
また、こまめに動いて活動量を増やしたり運動したりすることも勧められますが、これは「消費エネルギー量」を増やすのが目的です。前述のように、加齢とともに内蔵脂肪が増えるものです。体脂肪を落とすには、自分で体を動かして汗を流すしかありません(注:暑さで汗が出るだけではやせません)。
充分に体を動かすエネルギーを得るためにも食事は不可欠ですから、先に食事を減らすのではなく、「食べて、動く」という順番を忘れずに。もちろん、食べるのは「必要な分だけ」であって、食事ではなくお菓子やお酒を優先するのは本末転倒です。

7月号の特集テーマは「自分に合ったダイエットの見つけ方」。

表紙には「50歳からの挑戦しないダイエット」という記事のタイトルを大きく見せましたが、その中ではリバウンドしないための秘訣をご紹介しています。また、勝間和代さんが自身の経験を語るインタビューやトレーナーのAYAさんによる筋トレ、ダイエット中に不足しがちな栄養素がとりやすいおかず集、習慣づけに役立つカレンダーなどを盛り込みました。

ちなみに、私に合っているダイエット法は、女子栄養大学の「四群点数法」(毎号、巻末に解説あり)。学生時代に習って以来、朝あれを食べたから、昼はこれ、夜はまだ食べていないあの食材を……と考える癖がついています。お酒を嗜まない分、主食はしっかり。間食の習慣はありませんが、好きなものはがまんしない(笑)、食べすぎたら翌日はちょっとセーブする、そんなやり方で、体重を維持しています。


【注釈・参考文献】
※1 体重と身長から得られる体格指数(Body Mass Index)。判定基準は「肥満症診療ガイドライン2016」より。
※2 「平成29年 国民健康・栄養調査結果の概要」より。
※3 健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料
※4 昭和大学DOHaD班


★6月8日発売「栄養と料理」2019年7月号の特集は、「自分に合ったダイエットの見つけ方」。全国書店ならびにAmazonにて。

浜岡さおり

浜岡さおり

1974年生まれ。長野県出身。
大学で栄養学を中心とした食と健康にまつわる様々な学問に触れる。


女子栄養大学出版部で書籍と雑誌の編集に携わること20年超。


現在、月刊誌『栄養と料理』編集長。特に中高年に向けて、生活習慣病を防ぐ食生活や健康管理に役立つ情報を発信している。


ガールスカウト出身。自然に親しみ尽くした若き時代の反動か、現在は都内マンションでアーバンライフ?を送る。食べることが好き。テニスも好き。

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