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サンダルウッドの丘の家より・番外編 / 山崎美弥子

本日、17:31に射手座の満月を迎えます。
通常の連載はお休みして、番外編をお送りします。

デューン・シャンティ 山崎美弥子 2002

外国旅行した時は神様などについて、話題にしないのが無難ということだ。

海の砂丘のシャンティ。ケイプはそこに住んでいた。

それがケイプの世界のすべてだった。

 

その窓から見えるもの以外何もケイプは知らなかった。なにも。

でもケイプはすべてを知っていた。世界中の誰もそのことを知らなかった。

ケイプがそこにいることさえほとんどの人が知らなかった。

ほとんどの人たちはやはりすべてを知っていると思っていた。

そして実際、すべてを知っていた。そしてさらにすべてのすべてを知りたいと思っていた。

…窓からいつも、いつもケイプは見ていた。そこでは世界のすべてのすべてがくりひろげられていた。

いつも見ていた。

 

 クリーム色のひとすじのひかりが、みさきの向こうのおだやかなサーフへと、終わり無く遠く、なげかけられてゆくさまを。

ケイプは考えた。“すべて”の果てへ行くことを。

そこは遠い国よりも遠い、条件のない場所(あたたかいところ)だった。

山崎美弥子

山崎美弥子

1969年東京生まれ。
多摩美術大学卒業後、東京を拠点にアーティストとして活動。


一転し、2004年より船上生活を始める。のち、ハワイ・モロカイ島のサンダルウッドの丘に家を建てる。


現在は東に数マイル移動し、「島の天国131番地」と呼ぶその家で、心理学者の夫と二人の娘、馬や犬たちと、海と空や花を絵描きながら暮らしている。

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