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Baby’s coming! ♯13 / Saori

嗜好品とお薬が与える妊娠中の影響 〜後編:お薬編〜

Baby's coming! ♯13 / Saori | hoailona

皆さん、こんにちは。
今年の夏は、本当に暑い日が続きましたね。
気温の変化についていくのがやっとで、仕事の効率が悪くなったり出かける元気がなかったりされた方も多かったと思います。
身体にとって、気温の変化はストレスのひとつです。体温を下げようと様々な機能がフル活動することで、体が疲れてしまいます。
こまめな水分補給と休息を心がけながら、まだまだ続く残暑を乗り切りましょう。

さて、今回は薬が妊娠に与える影響について。
嗜好品と違い、薬は好きで飲んでるわけではないですよね。必要があるから摂取しているものです。
ママの健康を維持するために薬を続けるべきなのか、それとも赤ちゃんのために止めるべきなのか。すごく難しい選択です。しかも妊娠期だけでなく、出産後の授乳期の影響も考えなければなりません。
では、実際どんなことに気をつけながら管理をしていくべきなのか、一緒に考えてみましょう。


服薬の危険性を考えるきっかけとなった「サリドマイド事件」

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薬が胎児に大きな影響を与えることがわかった大きな事件があります。
それは1950年代後半から60年代にかけて起きた「サリドマイド事件」です。
サリドマイドは、1957年にドイツで発売された鎮静や催眠作用のある薬で、妊婦でも使える安全な薬と宣伝され、世界中で使用されました。
はじめに異常が見られたのはドイツ。四肢に奇形を持つ赤ちゃんが多数産まれたそうです。
その後世界中で同様に、四肢が短縮した「あざらし状奇形」をもつ赤ちゃんが、数千人〜1万人ほど産まれたとされています。その後サリドマイドは1961年西ドイツで販売停止され、世界中で販売停止・回収されることとなりましたが、日本では死産を含めて約千人ほどが被害を受けました。
この事件がきっかけとなり、薬品が胎児や妊婦に与える影響が明記され、使用の適応をしっかり検討しながら使われるようになりました。
ちなみにサリドマイドは、現在では安全性や適応が見直され、適切に使用されるようになっています。

では、妊娠中に影響があるお薬は、どのようなものがあるのでしょうか。
多数の参考書では、一般的な抗生剤や鎮痛剤などは妊娠中に服用しても母子ともに影響はないとされていますが、ごく一部の特殊な医薬品に注意が必要であると記載されています。
それらの成分は胎盤を通過し、胎児への移行による奇形の発症、胎児の呼吸・循環障害の出現、子宮収縮を促進、妊婦の血圧を低下させ臓器の機能を悪化させる等の影響が出る可能性があります。妊娠7週末までは胎児の器官や神経が形成される時期なので、医師や薬剤師は最大の注意を払い必要性を検討し投薬指示を出します。

【参考】注意が必要な医薬品の例 ()内は影響

  • 抗生物質:テトラサイクリン系(骨発達障害、先天性白内障、胎児歯牙の黄染)、アミノグリコシド系(難聴、腎障害)、クロラムフェニコール(灰白症候群)
  • サルファ系(胎児、新生児の核黄疸)
  • 経口ニトロニダゾール[禁忌]
  • ホルモン剤
  • 経口糖尿病薬(催奇形性、新生児の低血糖)
  • 抗甲状腺薬(胎児の甲状腺機能低下)
  • 中枢神経系作用薬:抗てんかん薬、抗不安薬(口唇口蓋裂、心奇形、四肢の奇形、筋緊張低下)
  • モルヒネ:依存性、薬物離脱症候群
  • チオペンタール:無呼吸
  • サリドマイド
  • ワルファリン ・ACE阻害薬

母体だけでなく、パートナーの服薬も注意が必要

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さて、出生全体の中で、先天異常の頻度は3〜5%となっています。その原因には、内的因子と外的因子がありますが、外的因子は5〜10%であり、薬剤はこの中の1%程度とされています。奇形が発症する要因は、母体感染、母体疾患、化学物質(ダイオキシン)、有機溶媒、農薬、金属(水銀、鉛)、食品添加物、嗜好品、ビタミンAの多量摂取、放射線(電磁波)などの環境因子の影響のほうが大きいということです。
しかし先天異常は65〜75%は原因不明です。原因をみつけるには細かい専門的な検査が必要なため、特定することができない場合がほとんどなのです。

そしてもちろん、薬の影響は男性にもあります。
1回に射精される精子の数は2〜3億個ですが、そのうち20%ほどは形態的異常があるとされています。薬剤の影響を受けた精子は受精能力を失うことがほとんどなので、妊娠への影響はほぼないとされています。
しかし、直接の妊娠への影響はなくても、パートナーの女性への薬物移行は考えられます。白癬治療薬、通風治療薬、抗悪性腫瘍薬、角化症治療薬、抗ウイルス薬、抗サイトメガロウイルス薬、抗リウマチ薬、免疫抑制剤を使用している男性の方やパートナーが妊娠している、またはその可能性がある場合は、性行為を控えるか、コンドームでの避妊を指導しています。

薬との付き合い方について、具体的な例を上げてみます。

まずは風邪薬。
市販薬は胎児奇形の影響は低いと考えられています。しかし自己判断での服用は注意しましょう。
まずは病院で受診し、内服治療が必要かを医師に判断してもらうことを勧めます。持病をお持ちの方も同様です。常備薬や治療のための薬剤が、安全なものなのかを主治医や担当薬剤師へ相談し一緒に対応を決めましょう。

次にワクチン接種。
ワクチンには病原体となるウイルスや細菌の毒性を弱めた生ワクチンと、ウイルスや細菌の毒性をなくした不活化ワクチンがあります。風疹、麻疹、おたふく、水痘ワクチンは生ワクチンで、弱いながらも毒性があるので、妊娠中の接種は禁忌とされています。そのため、妊娠前の検査で抗体があるかを知る必要があるのです。
インフルエンザは不活化ワクチンのため、過去に強い副反応が出た経験等がない限り、逆に接種を推奨しています。インフルエンザにかかることで流産の発生率上がるなど、影響が報告されていることが理由にあります。

最後にサプリメント。
サプリメントの重要性は以前からお話していましたね。三食を毎回栄養バランス良く摂るのは、本当に難しいことです。ましてや妊娠中は、お母さんは赤ちゃんの分の栄養も必要です。そのため、必要に応じてサプリメントで栄養を補うことは、選択肢のひとつです。
一方で、栄養であっても、過剰摂取することで胎児奇形に繋がるものがあります。
それがビタミンAです。
ビタミンAは脂溶性ビタミンの一種で、水溶性と違って身体に蓄積されていきます。そのため、過剰摂取による水頭症、口蓋裂などの奇形が報告されています。妊娠中の方は担当医師や助産師から聞いたことがある方も多いと思います。


ひとりで悩まずに、まずは専門家に相談

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嗜好品とお薬については、誰もが不安を抱えながらも、必ずご自身で選択しなければなりません。
いずれも胎児への影響があると報告されてはいますが、繰り返しお伝えしている通り、個別の事例において、何が原因となるのかはかなり専門的な検査をしなければならわかりません。

私達NICUスタッフは、病気や奇形を持つ赤ちゃんとそのご家族が一緒に乗り越えていけるよう、日々向き合っています。出産してからする後悔を、今の生活を見直すことでなくすことができるかもしれない。ママ自身がいいコンディションで妊娠をスタートしてもらいたいと常に思っています。

最後に、持病があるからといって妊娠を諦めないでください。
妊娠よる母子双方のリスクなどをきちんと教えてくれて一緒に解決してくれる専門家がいます。諦める前に、まずは相談してみてください。
妊娠は、女性にしか出来ない奇跡の体験です。そして同時に、女性だけの問題ではなく、パートナーや家族、みんなが自分ごととして考えていくべきことです。
関わる方全員で赤ちゃんのためにベストな選択をして、産まれてきてくれたことを喜び笑顔で迎えてほしい。そのことが、出産後の「いい育児」につながるのです。

さて、妊娠編は今回が最終回。次回からは「出産」「育児」をテーマに、お話を続けていきます。

Saori

Saori

1989年生まれ。看護師。
看護師養成高校在学中に見学した出産に感動。
生命の誕生の素晴らしさに魅せられ、母子に関わる看護の領域へ。


NICU(新生児集中治療室)での勤務経験から、病院の中だけでなく、地域や家庭の中でもできる、赤ちゃんやお母さん、家族のケアの周知に取り組む。


「治す」ではなく「全体を整える」、ホリスティックな視点をベースに、妊活・妊娠・出産・子育てに悩む女性に、健やかな身体作りを提案している。


国際ホリスティックセラピー協会チャイルドボディセラピスト1級
チャイルドボディセラピストインストラクター

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