Body Journey〜からだつれづれ ♯13 / つるやももこ
体(タイ)ミング?
表参道のとあるカフェにてこの原稿を書いています。
窓の向こうには、夕刻の灯りが美しい東京タワーと六本木ヒルズが見えます。
店内のBGMは……山下達郎の「フラジール」。
This is TOKYO. アーバンです。
本日、ここでとある女性と打ち合わせをしました。
実際に会ってお話をするのは2度目、そして1年ぶりの再会です。
いつも思うのは、人と人の相性は回数や頻度ではないなあ、ということ。
たった一度しか会ったことがないのに、性差や年齢や社会的な立場なども飛び越えて、言葉にし難い親密感を感じるという機会が、年に数回はあるものです。
じつはこの感じ、今月2度目。
前回は少し年下の男性で、なんと初対面でした。電話取材をさせていただいて意気投合。京都から東京に来られるタイミングでメールをいただき、突然お茶をすることになりました。
3時間ぶっとうしで喋り続けるなんて女友達としかしたことなかったので、面白い経験でした。
ものごとにはタイミングがあると、常套句のように言われますが、これってあたまで納得するのではなく、体感な気がします。そしてこの“ぴったりのタイミング”というのは、十中八九なにも考えずに起こした言動がきっかけで、いざそのときになってみて「わあ!」と高揚して初めて気づく。そして、そのたびに、タイミングを掴んだ自分を「よくやった」と褒めたくなるのです。
ところで。
今日の打ち合わせは、来年に向けてのプロジェクトについて。まだ始まるかもわからない、未知な冒険ですが、なんとなく悪くない予感がするのはいい兆候。
この、「なんとな~く」というのも、やはり体感です。
体感、大切にしたい。近頃とくに強くそう思います。
カップに残ったカプチーノの泡をスプーンですくって、再び窓の外に目をやると、東京タワーのイルミネーションが鮮やかなオレンジ色に変わっていました。
90年代気分に浸りながら、さて、今晩は久しぶりに実家に帰ってきます。
つるやももこ
女子美術大学グラフィックデザイン専攻卒。
在学中より制作していた私家本をきっかけに、2000年より全日空(ANA)機内誌『翼の王国』編集部で取材・執筆・編集の仕事に就く。
2006年独立後、フリーランスとして「旅とひと」をテーマに執筆、寄稿。女性誌や企業誌、フリーペーパー、単行本などの編集に携わる。
身近な人の体調の変化や病に寄り添った経験から、こころとからだは切っても切り離せないものだと実感。2018年、日高しゅうの協力を得てHōʻailonaを立ち上げる。