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Baby’s coming! ♯16 / Saori

母乳育児ってどんなメリットがあるの?

~現役NICU看護師が語る母乳辞典・前編~

母乳育児 | ホーアイロナ

こんにちは、Saoriです。
すっかり寒くなって、街のイルミネーションにほっこりする季節になりましたね。元号が変わって迎える初めての新年に向けて、やり残したことはないですか。振りかえりをしながら新年の準備をしていけたらいいですね。

さて、今月のテーマは、赤ちゃんと過ごす中で一番大切で一番悩まされること。
そう、「母乳育児」です。

「母乳育児」とは、すべて母乳で育てることではありません。少しでも母乳を提供することができていれば「母乳育児」なのです。この理解を取り違えてしまうと、育児がスタートから辛いものになってしまいます。
前回もお伝えしたように、育児は「初体験を、一生、一緒にやり遂げる」こと。
知らないこと、経験がないことだらけれ当たり前。それをひとつずつ学び、一回ずつ経験していくことを繰りかえすのが育児だと、私は思っています。一緒に悩み、考えながら、ママの経験を増やしていきましょう。

 

さて、プレママさんや妊娠を考えているみなさんに、考えもらいたいことがあります。
それは、どんな出産、育児をしていきたいかということです。
その内容が良いか悪いかではなく、ご家族で赤ちゃんを迎える準備をお話をしてもらうことそのものが、とても重要だと私は思っています。特にNICUへ入院となると、ママは突然の入院から出産し、赤ちゃんのそばにいることができない状況で、成長や育児を考えなけれなりません。ご家族の気持ちが追いつかず、辛い思いを抱えながら数ヶ月を過ごすケースも多いです。少しでもご家族が希望する育児に近づけるよう、私たちがお手伝いさせて頂くために、まずはご家族の思いが大切です。その中でも栄養に関することは、一生考えていくことのひとつです。
妊娠期の両親学級で教わったことや、先輩ママさんのお話など、たくさんの情報がある中で、今回のお話を、もう一歩踏み込んで育児を考えるためのきっかけにしてもらえると嬉しいです。

前置きが長くなりましたが、母乳のお話をスタートしましょう。

まず、結論から言ってしまうと、「母乳」は母子ともにメリットだらけなので、医療者の多くは母乳を推奨します。NICUでは、医師から治療についてのお話の中で、母乳の良さをご家族へお話します。

約1年、お腹の中で成長し産まれてくる赤ちゃんですが、あくまでも“ベース”が作られているだけということを忘れてはいけません。赤ちゃんはまだこれから成長・発達していく存在なのです。
早く産まれれば、その成長はベースにたどり着くまでにも時間を要します。新生児は、呼吸がうまくできなかったり、体への大きなストレスがかかると、一番大切な脳を守るために血流を流すので、お腹などの消化器系は二の次になってしまいます。早産や苦しい状態で産まれた赤ちゃんは、消化器系の働きが未熟であったり、生命維持のために働きが弱くなっている状態にあります。
また、消化を助ける膵臓の酵素も生後2~3ヶ月以降に増加してくるため、新生児は糖質や脂質の消化吸収が十分にできません。

赤ちゃんのお腹はとてもデリケートなのです。ですから、人工物を使う影響は、大きいものになりかねません。食物アレルギーの発症もデリケートなお腹へ消化が出来ないものが入ってくることによって起こるものになります。
けれど母乳には、このデリケートなお腹の消化を助ける酵素が含まれているのです。

さらに、ママへのメリットも多く報告されています。赤ちゃんがおっぱいを吸うことで分泌されるオキシトシンというホルモンには、子宮の戻りを促進させる効果があります。これにより、産後の出血量が減少し、母体の貧血予防につながります。また、血圧を穏やかにしてくれる効果もあります。
実は赤ちゃんにおっぱいを直接吸われなくても、乳頭の刺激でも十分な効果があることがわかってきています。そのため最近は、生後早期の授乳や乳頭刺激の介入を施設が増えてきています。早期に乳頭への刺激を行い、オキシトシンを分泌させることは、その後の母乳分泌にも大きく関わってきます。

オキシトシンにはまだまだ効果があって、ママのストレスに対する反応を抑えてくれる働きもあるんです。授乳中の女性はストレスに対して、血液中のストレスホルモンやグルコースの上昇が少ないことが報告されています。つまり、授乳中のホルモン変化によるストレスを感じにくくさせたり、緊張をほぐしたり、リラックスしやすくする効果があります。

そして、ママなら誰もが気にする、妊娠中に増加した体重の戻り。これも授乳によって解消することができますよ。それには、妊娠中に蓄えられた体脂肪が、母乳を作るために使われていることが関係しています。授乳中は非妊娠時に比べ、+350kcal/日のエネルギー付加が必要です。いつもの食事から、バターまたは油大さじ1杯程度を抑えることで、母乳への栄養を損なわずに、授乳による無理のない減量が可能になるのです。
さらに、疾患への影響も報告されてます。女性特有の閉経前の乳がん、卵巣がん、子宮体がんの減少や、骨粗鬆症、関節リウマチのリスク低減、生活習慣病リスクの低減などが報告されています。妊娠・出産によりママの身体の変化は著しく変化しますが、授乳することで、産後にかかりやすい疾患の予防になるのです。

ここまでは、母子の身体の構造の関係性から母乳のメリットをお話してきました。
ですが、私がそれ以上に大切だと考えることがあります。それは、赤ちゃんへのスキンシップのひとつであり愛情表現であるという面です。これを「アタッチメント」と言います。アタッチメントの促進は、今後の赤ちゃんとの関わりや成長に欠かせないものになります。
母乳育児をしていると、赤ちゃんは常にママに触れている状態になります。これにより、ママは自尊感情を高め、育児への自信を獲得しやすくなります。アタッチメントの促進により、児の異常行動や多動、友人問題、社会問題は減ることも報告されています。オーストラリアでされた研究から、虐待は授乳期間が短いほど多くなるという報告もあります。赤ちゃんは常に不安の中にいて、その様々な不快を快に変えてあげるためにママとパパがいます。母性は、この授乳行動によって引き起こされるアタッチメントから生まれてくるのです。

男性にもお伝えします。もちろん父性という、父親であること、赤ちゃんを守る存在だと思う気持ちもあるんです。この父性も赤ちゃんと触れ合った数だけ生まれてきます。

私は、母乳育児を家族で考えてほしいと、このお話のはじめにお伝えしました。母乳の分泌状況にフォーカスするのではなく、授乳を赤ちゃんとの触れ合いとして捉えてもらいたいと、ご家族に伝えています。赤ちゃんがすくすく育ってほしい。これは、すべてのご家族の願いだと思います。それには、母乳以上に愛情が必要不可欠です。いつでもアタッチメントのため、スキンシップのための育児ができることが一番のメリット、それが「母乳育児」だと私は思います。

次回は具体的に母乳の成分が赤ちゃんの成長にどんな効果があるのかを、一緒に知っていきましょう。びっくりすると思いますが、母乳育児は赤ちゃんのIQも上がっちゃうとか…!?
次回もお楽しみに。

 

Saori

Saori

1989年生まれ。看護師。
看護師養成高校在学中に見学した出産に感動。
生命の誕生の素晴らしさに魅せられ、母子に関わる看護の領域へ。


NICU(新生児集中治療室)での勤務経験から、病院の中だけでなく、地域や家庭の中でもできる、赤ちゃんやお母さん、家族のケアの周知に取り組む。


「治す」ではなく「全体を整える」、ホリスティックな視点をベースに、妊活・妊娠・出産・子育てに悩む女性に、健やかな身体作りを提案している。


国際ホリスティックセラピー協会チャイルドボディセラピスト1級
チャイルドボディセラピストインストラクター

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