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Aromaクンクン ♯9 / 原田裕子

初詣と香り

令和2年のお正月、皆さんも初詣に行かれたことと思います。
神社に行かれた方もいれば、お寺に行かれた方もいらっしゃることでしょう。日本では奈良時代より神仏習合という考え方があったことなどから、どちらに行くかをあまり区別していない方が多いのも不思議ではありません。
ですが、そもそも神様が祀られる神社に対して、お寺では御本尊である仏様が置かれています。日本古来の宗教である神道とインドから中国を経て日本に入ってきた仏教では参拝の仕方が異なっています。わかりやすいところでいえば、神社では柏手を打ちますが、寺院では手を合わせるのみです。

また、神社では参拝の前に手水舎の水で心身を清めます。伊勢神宮内宮では、五十鈴川の水を直接用いて行っています。
一方、お寺では手水舎で心身を清めるだけでなく、香りでも心身を清めます。浅草浅草寺の常香炉は皆さんもご存知ではないでしょうか。参拝する前に体の悪いところが治りますようにとか、頭が良くなりますようにともくもくした煙を被っているあれです。本来は香を被ることで生活臭を消し心身を清めることが目的でしたが、いつの間にかご利益を得るものとして定着していますね。そのほか僧侶は塗香と呼ばれるお香を使い心身を清める場合もあります。塗香は写経の経験がある方は使ったことがあるかもしれませんね。また、東京にある高野山別院には、参拝する人が自由に使える塗香が備えられています。

このように仏教では香は欠かせないものでした。

香というくらいですから本来は一際芳しいものを用いることが望ましいのですが、常香炉の煙も、そして仏様にお供えする焼香や線香も、現在ではただ煙いだけのものや合成香料が多く入ったものばかりになっているのは残念なことだと思っています。
元来、焼香、線香には、沈香や白檀などが用いられていました。それらを単体で使う用いる宗派もあれば、それらを中心にその他の香原料を調合して用いる宗派もありますが、いずれも良い香りが仏様に届くことが大切でしたし、良い香りこそが心身を清めると考えられていたからです。
次回、お寺をお参りする際には天然の香原料だけで作られた焼香や線香などで心身を清めて出掛けたり、塗香を持参してみるのも良いのではないでしょうか。

ところで、最後に、このように、神社とお寺の違いはあるものの、自然の恵みである水や植物の香りを用いて私たちが心身を清めて参拝するのは何のためなのでしょうか。
私は、神社やお寺を参拝するということは、ただ運気アップとか良縁とかを何かに願って得るのではなく、心身を清めるということで今まで自分にまとわりついたしがらみや、自分の良くないモノの見方や癖を、一旦浄化、リセットして、もう一度真白な紙のように何もない状態にすることだと考えています。
何もない状態から新たに次のステップに踏み出すことで、新しい可能性が見えてくることもあるのではないでしょうか。自分の健康や運気アップには、まず自分の体や自分の考え方、自分のこれまでの生活を見つめ直し、上手くいっていない場合にはそれを一度手放すことが大切なんだと思います。そのうえで、自分の想いや決心、心構えを神様や仏様に伝えること、それが参拝の本来の目的なのではないでしょうか。

原田裕子

原田裕子

香司 / アロマセラピスト / 香りアドバイザー
会社員を経て、好きが高じて香りの世界へ。


調香、アロマテラピーと西洋の香りから始まり、現在は日本の香りを作る香司としても活動。


自然の恵みである香りを消費するばかりではない、"サステナブルな"香りのある暮らしを提案している。

法人向けに、オリジナルの香りの開発も行う。

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