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栄養と料理・編集長ノート ♯12 / 浜岡さおり

女子栄養大学出版部発行の月刊誌「栄養と料理」の現役編集長による連載。日々更新されている栄養や健康に関する情報や、料理レシピにまつわるあれこれを、編集長の日々とともに綴っていきます。

血圧計とわたし

前回、自分の体を客観できる記録について触れましたが、2020年に始めてみたいと思っているのが「家庭血圧」の測定です。
高血圧の企画は何度も担当していて、経験のためにと家庭用血圧計を買ったこともあります。しかし、日ごろ意識することはほとんどなく、その存在さえすっかり忘れていました。
昨年末に帰省したときのこと。居間でテレビを見ていると、横で「ブーン」という音が鳴り始めました。そこには見覚えのある血圧計が。そういえば、父親にあげたんだっけ、と思い出しました。
父は生真面目で、命じられたことをきちんとやるタイプ。毎日きまった時刻に血圧を測り、手作りの記入用紙に鉛筆で記録していました。その後、父の手を離れた血圧計が母へと受け渡される様子を見て、母も血圧が高くなったことを知りました。
そんな家族の日常を垣間見て、自分の血圧もいつか高くなるのかなあ……とぼんやり思い、いつ、どんなふうにして上がっていくのかということに興味が湧いてきたのです。

家電屋に行ったらものすごい種類の血圧計があって迷いましたが、結局これを購入。上腕ではなく手首に巻くタイプで簡易的ですが、わりと安価でレビュー数が多かったので、まずはここから……。

健診ではわからない「高血圧」もある

健診や健康診断で「高血圧」と診断される人のうち、15~30%はすぐに治療する必要がない場合もあるそうです(「白衣高血圧」と呼ばれる状態。ただし、高血圧が持続するリスクはあるので定期測定は必要)。逆に、健診で引っ掛かることはなくても家庭や職場などの日常で血圧が高い人も10~15%いて、こちらはすぐに治療したほうがよいそうです(「仮面高血圧」と呼ばれる状態)。血圧って、ややこしいですねぇ……。
自分が高血圧だと気づいていない人は1,400万人いるそうですが、血圧が高い状態では血管が傷つきやすく、動脈硬化やそれに伴う重篤な病気を招きます。しかしながら、私自身も家や職場での血圧はそんなに測ったことがないんですよね。病院でおとなしく検査を受けているときに比べたら、まちがいなく高そう……。とはいえ、いまの生活で、まめに計測していられるわけもなく。だからこそ、実践すればだれでも高血圧予防につながる「減塩」を習慣にしたいと思うのです。

自分の食塩摂取量、考えてみたことありますか?

正確に把握するには、食べたものをきっちり計って計算するか、尿を24時間ためて排泄されたナトリウム量を計るかしないとわからないので、食塩摂取量の把握はなかなかむずかしいものです。私もシビアに管理できてはいませんが、まわりの人の食べ方を参考にしつつ「平均よりも少なめになるように」と心掛けています。
日本人の食事を調べた結果によれば、女性の平均摂取量が一日9.3g(※1)。一方、厚生労働省がまとめている「食事摂取基準」(※2)では、2020年度版から「6.5g(女性の12歳~49歳)」という目標が示されました。WHOは5gを勧告していたりして、けっして低すぎる値ではないのですが、現在の平均値とは2.8gの差があり、実際に私が平均より少なめだとしても、6.5g未満ではないだろうなと思うところ。

さて、私がとっている食塩の量はどれくらいなのか?

簡単にですが、食品成分表をめくりながら、食塩相当量の計算をしてみました。
朝がトーストとミルクコーヒー、果物でだいたい1gくらい。パンには無塩&無糖のピーナツバターを塗って、グラニュー糖をパラっとかけます。昼は学食なら3g程度。外食したらもっといきますが、わりと外食も多いです。昼のメニューを踏まえて夜は自炊することが多いですが、たとえば昆布でとっただしで鶏や野菜を鍋にして、ナンプラー数滴とたっぷりレモン果汁で食べ、ごはんとキムチ小皿1盛りくらい食べたとします。これでだいたい2g強かな……とすると、1日合計が6~7g。
小腹がすいてせんべいを食べることもあるし、前述の外食しだいでは、どーんと増えますね。残業でコンビニ調達するときは、けっこう気をつけないと1食4g以上になってしまうので、選ぶのに時間がかかってしまうという悩みもあります(そもそも時間がないからコンビニに行くわけで)。

旅先のドイツにて。ミューズリーにバターミルクをかけたりヨーグルトをかけたり。オレンジジュースに果物いろいろ。塩分が低そうな朝ごはんでした。

「おいしく減塩」のヒントはいろいろある

1月号から始まった、女子栄養大学教授の西村敏英さんによる連載「『おいしさ』を科学する」では、その名のとおり、「おいしさ」を決める要因をくわしく解説しています。そもそも、「おいしい」と感じる料理の要素は「塩分」だけではないんだなぁと。塩分を減らしても、料理をおいしく仕上げられるヒントがいろいろあることに改めて気づかされました。
一方、こうした理論は知らないかもしれないけれど、調理の研鑽を重ねながら経験的に「おいしく減塩するコツ」を見出しているのが料理家だったりします。2月号では、さまざまな料理家に、自身の減塩のワザを教えていただきました。ユニークなアイデアがいろいろあるもんですね。だから料理はおもしろい。ではまた!


※1 平成 30 年 国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000584138.pdf

※2 各論, ミネラル(多量ミネラル), 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586565.pdf

参考文献:佐藤直樹監修,「血圧と減塩のギモンQ&A」,『栄養と料理』2月号, 特集1「もっと知りたい!血圧と減塩のこと」


★1月9日発売「栄養と料理」2020年2月号の特集は、「もっと知りたい! 血圧と減塩のこと」。全国の書店並びにAmazonにて。

浜岡さおり

浜岡さおり

1974年生まれ。長野県出身。
大学で栄養学を中心とした食と健康にまつわる様々な学問に触れる。


女子栄養大学出版部で書籍と雑誌の編集に携わること20年超。


現在、月刊誌『栄養と料理』編集長。特に中高年に向けて、生活習慣病を防ぐ食生活や健康管理に役立つ情報を発信している。


ガールスカウト出身。自然に親しみ尽くした若き時代の反動か、現在は都内マンションでアーバンライフ?を送る。食べることが好き。テニスも好き。

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