Body Journey〜からだつれづれ ♯15 / つるやももこ
伊良部島から届いたハーブの女王
先日、沖縄県・宮古島に住む友人でアーユルヴェーダの講師でもあるCHIHARUさんから小包が届きました。
中身は「トゥルシー」。シソ科のハーブです。
以前ワークショップを開いた際に、みんなに振舞ってくれたのがトゥルシー茶でした。ポットにお湯を注ぐと、部屋中に葉とも花とも言い難いなんとも華やかな香りが広がって、思わず目を閉じ、香りを胸いっぱい吸い込みました。
ところで。
ヒンドゥー語で「トゥルシー」とは、「比類なき者」という意味。インドでは、古代からアーユルヴェーダハーブとして珍重され、とても大事にされてきた存在だそうです。
ちなみに英語名では「ホーリーバジル」。ホーリーは“聖なる”という意味ですから、つまりは、聖なるバジルということ。“ハーブの女王”ともいわれる所以です。
伊良部島は宮古島と橋で繋がる島。そこで農業を営むCHIHARUさんの友人が育てているというトゥルシーは、さまざまな種類がある中でもとくにかぐわしい花を咲かせるという「ラマ」という品種。温暖な気候がインドに似ているため、現地に非常に近い品質のものが育つとのことでした。
さっそく、袋を開けてみれば……、もう、なんともいえない優雅な香りが立ち上りました。傍らにいた猫が、その香りにびっくりして逃げるほど(笑)。
猫にハーブを精製して香り成分を凝縮させたアロマオイルを嗅がせるのは危険ですが、全草のハーブは大丈夫。彼らも草花の香りが大好きなのです。きっと野山を駆け巡っている気分になるんでしょう。その猫でさえ、最初はびっくりするほど、それはそれは濃厚で華やかな香りでした。
説明書きにある通り、1グラムに対して、200ccのお湯で8分間。ポットの中でゆっくりと抽出させます。その間も、湯気と一緒に芳香浴。
色を見たかったので透明なガラスのコップに注いでみました。
お湯で抽出すると、茶葉で嗅いだ時よりも香りは洗練されたものになった感じです。
「比類なき者」とは、この優雅な香りのことも言っているのではないかと思った次第。
口に含むと、バジルなだけにシソの風味があります。でもミントのような清涼感もあります。そこにフローラル系の優しい甘さが加わった感じです。
思いついてハチミツを入れてみたら、すごくおいしい。モロッコで飲んだミントティーを思い出しました。夏は水出しも良さそうです。
後から調べれば、トゥルシーは免疫系に働きかけて、精神の安定やストレスの軽減にも役立つとありました。
効果効能に縛られるのは好きではないですが、安らぐ香りであることは確かです。
夜眠る前などにいいのではないかな、と思います。
小さな紫色の花を咲かせるトゥルシー。このハーブが畑一面に植わっている様子を思い浮かべてみると、それだけで呼吸が深くなります。トゥルシーに限らず、ハーブは香りを想像するだけでからだをゆるませてくれる素晴らしい自然の贈り物だと思いました。
トゥルシー茶の他にも、ローゼルや月桃などさまざまなハーブや野菜を育てながら、加工品も作られています。
つるやももこ
女子美術大学グラフィックデザイン専攻卒。
在学中より制作していた私家本をきっかけに、2000年より全日空(ANA)機内誌『翼の王国』編集部で取材・執筆・編集の仕事に就く。
2006年独立後、フリーランスとして「旅とひと」をテーマに執筆、寄稿。女性誌や企業誌、フリーペーパー、単行本などの編集に携わる。
身近な人の体調の変化や病に寄り添った経験から、こころとからだは切っても切り離せないものだと実感。2018年、日高しゅうの協力を得てHōʻailonaを立ち上げる。