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栄養と料理・編集長ノート ♯13 / 浜岡さおり

女子栄養大学出版部発行の月刊誌「栄養と料理」の現役編集長による連載。日々更新されている栄養や健康に関する情報や、料理レシピにまつわるあれこれを、編集長の日々とともに綴っていきます。

物理的な刺激「寒冷」が引き起こす蕁麻疹

私が初めて入ったのは日本海でした。蕁麻疹が出たから海に抵抗感があるかといえばそんなこともなく、その後の家族旅行ではよく海に出かけたものです。

かゆくなったり、気持ち悪くなったり、どこかが腫れたり、呼吸が苦しくなったり……。アレルギーによる症状はさまざまです(※1)。私のアレルギーとの出合いは3歳のとき(らしい)。「初めての海」で水に入るなり蕁麻疹が出たそうです。このときの原因は明らかではないですが、その後の体験から「寒すぎた」のではと推察するところ。というのも、夏の終わりのプールや冬の屋外で「皮膚が1枚増えたような感覚」になるのは日常茶飯事だったから。当たり前すぎてだれかに申告することもなく、せいぜい「顔赤いね」といわれるくらい。そんなときはたいてい、手もパンパンに腫れていたりするのですが。蕁麻疹とは「痒みを伴う紅斑が24時間以内に出没する」(※2)特徴があるそうで、ああなるほど、だからいつのまにか忘れてしまうのですね。


※1 アレルギーポータル(日本アレルギー学会、厚生労働省)
※2 蕁麻疹診療ガイドライン2018(日本皮膚科学会学会)


アレルゲンがわかれば対策できるが、それまでがタイヘン

花粉症もアレルギーの一種ですね。私は30歳代になってからのデビューですが、鼻水・鼻づまりの苦しさといったら。シーズンに入るとティッシュへの依存度が高くなります。

大人になって良かったと思うのは、自分で情報を集めればきちんと治療が受けられて、不快な症状がおさえられるということ。やたら咳が出ると思ったら喘息の入り口にいたとか、牡蠣を食べて具合悪くなっていたのは食中毒ではなかったとか、痛い目に遭いながらも、徐々にコントロールできるようになってきました。とはいえ苦節40年余。なかなかに、長い。
日本のアレルギーによる年間死者数の推移を見ると、気管支喘息が減少傾向(平成26年で1,550人)、食物アレルギーは横ばい(同年で1人)です(※3)。喘息患者自体は増加傾向ですが、死者数は減っているという事実。これにはコントロールの方法が確立されたという背景がありますが、それでも結構な数ですね。一方、食物アレルギーについては不明なことも多いようで、たとえば患者数。乳幼児期では「自己申告」で約80万人、「医師の診断」で約30万~約50万人、学齢期では「自己申告」で約60万人、「医師の診断」で約35万人と推計。また、成人については大規模調査が少なく、よくわからない現状です(※4)。数字だけ見れば喘息と比べて大したことがないようにも見える食物アレルギーですが、食事は社会とのかかわりが深いもの。食物に不安がある状況は、想像以上に大変なことだと考えられます。


※3 アレルギー疾患の現状等(平成28年2月3日、厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課)
※4 日本における食物アレルギー患者数の推計:疫学調査の現状と課題(アレルギー, 2018 年 67 巻 6 号 p. 767-773 一般社団法人 日本アレルギー学会)


「食べられない」診断は、慎重に行なわれるもの

牡蠣は生で食べるのが好きでした。食べ始めたのは大人になってからですが、食べられた期間は思いのほか短かったですね。これは仲間が食べている鍋を眺めていたときの写真。

さて、「これは食べちゃダメ」という診断は、専門医の問診のほかに「IgE」という抗体を調べる血液検査、皮膚での反応を見る皮膚プリック試験、アレルゲンとなる食物を除去したり、口にしてみる試験などを実施したうえで、総合的に行なわれます。
一般に「食物アレルギー」といえば「食べて2時間以内に反応が出る」即時型の食物アレルギーのことを指します。ネットを検索すると、遅延型や遅発型の食物アレルギーという名称も出てきますが、こうした謳い文句で行なわれているIgG抗体の血液検査については、アレルギー関連の複数の学会から、その結果が食物除去の根拠にはならない旨の注意喚起が出されています(※5)
ちなみに、乳幼児の食物アレルギーは離乳食の開始時期や親の食生活とはあまり関係がなく、多くが成長に伴って改善するといわれています(※6)


※5 血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起(更新)
※6 特集 食物アレルギー最新情報(『栄養と料理』2020年3月号)


食に携わる人は「食物アレルギー情報」の更新を!

本誌3月号の特集では「食物アレルギー」を特集テーマにとり上げ、子どもの近くにいるすべての大人の人にぜひ知っておいて欲しいと思うことをご紹介しました。ある人を「幸せにする」食べ物が、ある人には「地獄を見る」食べ物になることもあるので、くれぐれも食べ物の無理強いはしないようにしたいものです。だれかに食事を提供する可能性がある人は、食品表示の対象となっている計28品目(※7)をまず確認しておきましょう。

【特定原材料(7品目)】
えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)

【特定原材料に準ずるもの(21品目)】
アーモンド(令和元年9月に追加)、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン


※7 別添 アレルギー関係(食品表示基準に係る通知・Q&Aについて, 消費者庁)


★2月9日発売「栄養と料理」2020年3月号の特集は、「食物アレルギー最新情報」。全国の書店並びにAmazonにて。

浜岡さおり

浜岡さおり

1974年生まれ。長野県出身。
大学で栄養学を中心とした食と健康にまつわる様々な学問に触れる。


女子栄養大学出版部で書籍と雑誌の編集に携わること20年超。


現在、月刊誌『栄養と料理』編集長。特に中高年に向けて、生活習慣病を防ぐ食生活や健康管理に役立つ情報を発信している。


ガールスカウト出身。自然に親しみ尽くした若き時代の反動か、現在は都内マンションでアーバンライフ?を送る。食べることが好き。テニスも好き。

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