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Hōʻailona

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満てる ♯4 / 編集部

高知の言葉で「満てる」とは、人生が満ちる、人が死ぬことを表すそうです。
死は、人生の終了ではなく満了。さすれば死について考えることは生についても考えること。
こころとからだの最終地点を目指す旅として、hoailonaは、さまざまな分野の方々に話をお聞きしながら、人生を満了するためのヒントを学んでいきます。

日蓮宗妙善寺住職の的場さんのおはなし【後編】

前回に引き続き、賑やかな六本木の真ん中に静かに佇む日蓮宗妙善寺住職のお話です。
まだ30代と若い、住職の的場さん。合間の雑談からのぞくのは、息抜きにバーに行ったり、趣味はスーパー銭湯巡りだったりする、ごく普通の30代の日常の姿です。
現代人の生活からはちょっと離れてしまった日本古来の信仰のお話を、現代人の感覚で、わかりやすく教えてくださいました。

版画/本間尚子 Shoko Honma

前半はこちらから。

 

– 今の時代、昔は助からなかったような病気でも助かるようになったりして、語弊があるかもしれませんが、人が死ににくくなっているな、と思います。 自分のこととして考えた時に、自力でトイレにも行けずご飯も食べられず寝たきりで、何十年も生きることになったとして、果たしてそれが幸せなのだろうかと考えてしまいます。 一方で身近な人が亡くなったときに、「もっとできることがあったんではないだろうか」と、罪悪感を感じてしまう方も多いと聞きます。

みなさん状況はそれぞれ違いますが、おのおの心の中に処方箋があると考えます。 こんな例え話を考えてみてください。

2時に来るバスがある。

2時に間に合うようにバス停に行くと、だいたいちょっと遅れてくる。

それを知っていると、次からバスが遅れてきても「ああ、やっぱりな」と思う。 でも、稀に時間通りにちゃんと来たときには嬉しい気持ちになりますよね。

ネガティブポジティブとでも言いましょうか(笑)、そもそもネガティブが当たり前という心持ちでいると、ちょっとしたことに幸せを感じられるようになります。

「今こんな状態ではあるけれど、○○になるよりは良かった」とか「今こんな状態ではあるけれど、○○があるから幸せだ」とか、ちょっと視点をずらすと、そんなことがたくさん見つかると思うんです。

「おじいちゃんは今寝たきりだけど、おばあちゃんに出会えてよかったね。」とかね。 それぞれの家族ごとにきっと何か見つかると思います。

もうひとつ、お釈迦様がお弟子さんにされた、たとえ話があります。

ある人の家に貧しい友人が遊びに来た時のこと。友人は酔って寝てしまいますが、ある人は急に旅立たないといけなくなってしまいました。

友を起こすのも忍びないと思ったある人は、何かあった時に彼が困らないようにと、その襟元に宝石を縫いつけました。

それから何年かして、二人は再び巡り会いましたが、友人は変わらず貧しいままでした。襟元に宝石があるのに、気付かずに過ごしていたからです。

今僕たちはまさに酔っ払ってへべれけな状態とも言えるわけです。じつは大切なものはすごく近くにあって、意外なものが元気になるためのキーになったりするんです。

襟を確かめるように、自分のすぐ身近なところをちょっと確かめてみましょう。

 

– 的場さんは、ご自身や家族の死について考えることはありますか? 

それはあります。

例えば毎日心臓の手術をするお医者さんが心臓を見慣れているように、ずっと同じものを見ていると慣れていく感覚ってありますよね。職業柄、毎週毎週ご遺体と対面するわけですが、死に対して“慣れる”という感覚にならないように気をつけています。

死を特別なものだと思っていないと、ご遺族の気持ちに寄り添えないんです。

だから死について、意識的に考えるようにしています。

お釈迦様って宗教家というより、哲学者で思想家なんですよね。正直なところ、“宗教” という日本語訳が少し違うのかな?と思っています。

日本における宗教と、海外での宗教って、捉えられ方に違いがありますよね。そこにその違和感に対するヒントがあるのではないかと思うんです。 例えばハリウッド映画で食事の前にお祈りをしても違和感はないけれど、日本のテレビドラマで食事の前に「南妙法蓮華経〜」とか家族で唱えるとか、ちょっと考えられないですよね(笑)。

日本でも、昔は宗教はもっと土着的なもので、人々の身近にあるもので、日々の生活の中にあったんですよね。

ただ、人々と宗教が離れていったのは、根が深い問題というよりは、ライフスタイルの変化なのかなと思っています。生活が変わってことで、自然と淘汰されてしまったのではないかと。

今って、誰が決めたわけでもないけれど、楽しくて、幸せで、いつも笑ってる。それが “いい” って方向になっちゃってますよね。家族みんな元気で、お金もたくさんあって…って。何かはわからないけれど、「これがいいよ」っていう何かがありますよね。それこそが人々を苦しめていると思います。それが “ない” と、落ち込んだり、不幸だと感じたり。

仏教は、明日病気になっちゃうかもしれないし、死んじゃうかもしれない、だから今を楽しく生きましょうっていう教えなんですよね。お釈迦様の考え方は、生きていると辛い方がむしろ普通。みんながみんな楽しい状態ではない。人と比べるものではない、というものです。

 

– 宗教の研究家である中沢新一さんの著書で読みました。お釈迦様は若い時から修行の旅に出るけれど、若い時から悟りを開いた後もずっと、老年のような哲学観だと書かれていました。かたやイエス・キリストは30代の思想であると。実際に磔になった時も30代でしたよね。 また、キリスト教の歴史は、迫害の歴史でもある、と。迫害されて迫害されてその中から立ち上がってきた経緯があるけれど、一方で、仏教は迫害されていない、稀な宗教なのだそうです。お釈迦様の思想は和やかで、その観点からも、西洋と東洋では絶対的な宗教観に違いがあると中沢さんは述べられていました。 

「死んだらどうなるんですか?」って聞かれることが多いです。僕なりの解釈ですが、魂の行くところは二つあると思っています。

ひとつは天国、そしてもう一つは残ったみんなの心の中です。

供養って、正式には「回向供養」って言うんです。回向とは、自分に向かって帰ってくるっていうこと。

亡くなった方に手を合わせると、あちらの皆さんも嬉しいし、自分たちの悩みもスッキリしちゃうってことで、回って帰ってくるんです。

僕はよく「ご利益は気まぐれって思った方がいい。」って言っています(笑)。受験で不合格になっちゃうかもしれない、意中の人とカップルになれないかもしれない。でも、“功徳” は全員もれなくもらえるものなんです。功徳とはつまり、お墓やお寺に行って、無になってスッキリして帰るってこと。だから、「ご利益は気まぐれだけど、功徳は全員もれなくもらえるよ。」ですね。

面白いお経があります。

お釈迦様が「私はもうすぐ死んじゃうんだよ」って弟子のみんなに言うんです。 「僕が死んだら、みんな会いたくなるよね。でも、だからそのために死ぬんだよ。魂はずっとあるんだよ。体はなくなっちゃうけれど、魂はずっとあるんだよ。」そんな風に言っています。

お釈迦様が、自分で自分の行き先を言うお経なんです。さみしいけれど、信じればまた会えるんだ、って。

お釈迦様が目指したのは、生まれ変わりのない世界なんです。だって地獄は生きている今ですからね。

でもね、死んでもし地獄に行ったとしても、最後は必ずハッピーエンドなんじゃないかって、僕は思っているんです。だって、死んで戻ってきた人は誰もいないですから、確認のしようがないんですよね。ハッピーエンドじゃないって証明もできないんだから、いい方を信じようって(笑)。

 


妙善寺 イベント&お稽古情報

的場さんのお寺、妙善寺では、たくさんのイベントを開催しています。どなたでも参加できますので、気軽にお問い合わせしてみてくだい。的場さんに会うだけでも、なんだかホッとできますよ。

◼️「お経を学び聞き書き写す会」
毎月第1土曜日17:00〜
講師:住職
会費:無料

◼️「妙善寺囲碁クラブ」(初心者&入門大歓迎)
3月10日(日)15:30〜17:30
講師:王唯任五段
会費:2,000円

◼️「お寺deほっと♡縁むすび」
六本木のお寺で、婚活&ステキ体験で癒されませんか?
お寺ならではの、「癒しの婚活イベント」
3月22日 (金) 19:00〜21:00
会費:男性 4,000円/女性 3,000円

【お問い合わせ】

すべてのイベントのお問い合わせは、下記メールアドレスまで。

myozenji55@yahoo.co.jp


 

つるやももこ

つるやももこ

女子美術大学グラフィックデザイン専攻卒。
在学中より制作していた私家本をきっかけに、2000年より全日空(ANA)機内誌『翼の王国』編集部で取材・執筆・編集の仕事に就く。


2006年独立後、フリーランスとして「旅とひと」をテーマに執筆、寄稿。女性誌や企業誌、フリーペーパー、単行本などの編集に携わる。


身近な人の体調の変化や病に寄り添った経験から、こころとからだは切っても切り離せないものだと実感。2018年、日高しゅうの協力を得てHōʻailonaを立ち上げる。

日高しゅう

日高しゅう

1981年生まれ。東京外国語大学イタリア語学科卒。
イタリア・フェラーラ大学にて、中世美術史を学ぶ。


アロマテラピー業界およびIT企業で広報として勤務後、2017年、語学と文化を学ぶため、ハワイに留学。ハワイ島のロコからハワイ語を学ぶ。


ハワイ各地を旅し、帰国後、つるやとともに『Hōʻailona』を立ち上げる。
入門者向けのハワイ語講座講師としても活動。

編集室

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