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南インド・サットワ便り ♯2 / Sachi

インドの人は病気になったらどうするの?

インドの人々は病気になったらどうするの?

そんな質問をたまに受けます。

これは、本当に人それぞれ違っているので、いつもうまく答えられないのですが、基本的には日本人と同じように近くのクリニックを受診します。早く症状を抑えたい時には西洋医療、小さな子どもや、薬の副作用を好まない人は伝統医療という風に選んでいるようです。緊急の場合や複雑な疾患の場合は、大学病院などの大きな病院へ紹介されます。

日本に厚生労働省があるような形で、インドには伝統医学を管轄する省庁(伝統医学省/通称:AYUSH)があります。

“AYUSH”とは、

 

  • Ayurveda アーユルヴェーダ(インド伝統医学)
  • Yoga and Naturopathy ヨガ、ナチュロパシー (自然医療=食事やハーブ、カウンセリングなどで自己治癒力を高める複合的療法)
  • Unani ユナニ(古代ギリシャの医学を起源とするイスラム圏の伝統医学)
  • Siddha シッダ(南インド・タミルに伝わる伝統医学)
  • Homeopathy ホメオパシー(ドイツ発祥の同種療法)

 

これらの頭文字を合わせた言葉で、それぞれの伝統医療が正しく伝承されるように、研究開発や教育もすすめられています。

同じく、スリランカにおいても伝統医学省(通称:アーユルヴェーダ省)という政府機関があり、国の知的財産として、医師の育成やハーブの保護がされているのです。

インド・スリランカ両国には、共に国をあげて伝統医療の知識や技術の伝承に力を入れている背景があります。

医師は大学の専門課程で5~6年間学んだ後に国家資格を取得し、経験を積んでいきます。

病院内の様子。

現地治療院の位置づけ

現地の人は、西洋医療と伝統医療どっちの病院に行くの?

そんなことも聞かれることがあるのですが、実際に現地の人に尋ねてみると、人それぞれに好みがあるようです。

というのも、そもそもこちらでは、西洋医療か伝統医療かどちらかの二者択一というわけではなく、両者に線引きがされていることもないので、ごく当たり前に、自由に選択できる環境があるからだと思います。

特にスリランカでは、国立の病院であれば、どちらの医療を選んだとしても治療費は無料です。

街には私たちにも馴染みのある普通の薬局と、アーユルヴェーダの薬局が混在しています。

住宅街の中を歩いていると、アーユルヴェーダやホメオパシー、ナチュロパシーのクリニックをよく見かけます。

緊急の場合や早く症状をおさえたい時には西洋医療の病院にかかり、骨折や関節痛、皮膚疾患や慢性的な症状がある時には伝統医療を受けるといったように、使い分けている方が多いようです。

わたしの周囲のことでいうと、ここ最近では、交通事故に遭った男性、バーレンさんのケースが印象的でした。

バーレンさんは、事故直後に一度大きな病院で緊急の手当てをして、その後、アーユルヴェーダの伝統医にかかりました。

治療院に来た当初は全く歩くことができず、トイレに行く時も介助が必要な状態だったのですが、治療を始めてから一週間が過ぎる頃には、目に見える変化が現れはじめて、それから日を追うごとに回復し、約三週間後には痛みなく歩けるようになりました。

どうしてこの治療院を選んだのか、尋ねてみると、数年前に関節炎の治療でこの治療院を訪れたことがあり、それまで西洋の薬であまり改善のみられなかった症状がなくなったからだと話されました。

ケララでThumba(トゥンバ)と呼ばれるハーブ。熱や咳、炎症、皮膚疾患に用いられる

 

どの国にもあるおばあちゃんの知恵

また、アーユルヴェーダは、おばあちゃんの知恵袋のような健康法として家庭でも受け継がれています。

友人のおばあちゃんは、庭から摘みとったハーブで自分の薬をつくったり、小さい子どもには、お風呂時間の前に全身オイルマッサージをしていたり、スパイスを使った料理がそのまま薬膳であったりと、特別なものではなく、その国の生活に昔から根差しているものだということが感じられます。

旬の野菜や果物とスパイスを使った薬膳のような日常食。

日本でも、冬至の日にゆず湯に入るといった風習が、健康法のひとつとして受け継がれていますよね。私が小さい時には、祖母が、やけどの肌にアロエをつけてくれたり、風邪の時にはネギを首に巻いたりしてくれていたなぁと思い出されます。インド・スリランカのアーユルヴェーダも、そのような感覚をイメージすると、暮らしと共にある身近なものだということが感じられるかもしれませんね。

この連載では、そのような身近な知恵もこれから少しずつご紹介していけたらと思っています。


*各WEBサイトで伝統医療についてガイドがあります。

インド政府公式ホームページ

スリランカ政府公式ホームページ


 

★アーユルヴェーダはWHO世界保健機構でも研究が進められている医療です。

★このページでは、アーユルヴェーダの専門的な療法についてや、ハーブなどの知識をシェアしていきますが、その効果に関しては個人差があります。それは私たちの心と体が1つとして同じものがないということです。

★実践に関しては、専門家の直接指導を必要とするものもあります。現在、専門医のもとで治療・療養中、あるいは体調に考慮が必要な方はご留意ください。

入口幸子

入口幸子

徳島県出身 看護師 1985年生まれ。
南インド・ケララ州在住。


病院で働くという仕事上、生命の誕生と最期の瞬間に立ち会う機会が多く、さらに自身の父・母が、ともに若くして癌で他界するというハプニングに見舞われたこともあり、いつの間にか健康オタクに。病気の症状に特化して治療する医療に疑問を抱いていた中、体と心、精神やスピリチュアリティを含めた人をひとりの人間として、全体の調和を診る自然療法に魅了される。


2015年大学在学中に留学の機会に恵まれ、インド・スリランカ両国の私立・国立病院にて、伝統医療アーユルヴェーダを学ぶ。


自身も10年間抑えていた関節リウマチに対する治療を受け、その効果や自然のエネルギー、自分の中にある自然治癒力を実感する。


欧米諸国・アジアを含め、様々な国から来た学生や患者さんとの出会いの中で、各国の医療事情を知り、誰もが安心して必要な医療を選択できる環境を願うようになる。現在、自然療法医になる憧れを抱きつつ、治療を必要としている人々をサポートする役割として、アーユルヴェーダやヨガを中心としたヘルスツーリズムを展開中。


Ayurveda Wellness Healer
Shivananda Yoga Teacher Training Course 修了

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