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Aromaクンクン ♯11 / 原田裕子

梅の香り、そして桜

今年はいつの間にか春になってしまった…そんな気がしています。例年ですと梅が綻びはじめその香りに春を感じながらも、まだ肌寒い日も多いなか、桜の開花を待ちわびていたものです。今年、東京では観測史上最速で桜の開花宣言が出されました。コロナウイルスの流行もあっていつもと異なる花見風景となりそうですが、今回は梅の香りと桜の香りについてお話します。

2つの花を比べてみると、香りという視点でみた場合には、梅の方に軍配があがるのではないでしょうか。
もちろん、桜もソメイヨシノとは異なる種のなかには、香りを楽しめるものもあるのですが
早春の頃、どこかの庭先から姿より先に香りでその存在をアピールする梅の花、その香りは
やはり格別です。梅の花はこの香りでミツバチを引き寄せるそうです。まだ寒い時期にミツバチは巣の中で羽を震わし、皆で体を温めてからこの香りに引き寄せられるように梅の花に集まります。

まだ大陸(中国)の影響が強く残っていた時代、『万葉集』のなかには桜よりもはるかにたくさんの梅の歌が詠まれています。
令和が元号として発表されたときにも、出典元となった万葉集の歌がずいぶん話題になりましたが、これも梅の歌でした。

初春の令月にして、気淑(よ)く風和らぎ、梅は鏡前の粉を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫らす

それが平安時代になると、次第に日本らしい、日本独自の文化も芽生え始め、『古今和歌集』では、梅よりも桜の歌が多く詠まれています。

小さな花から力強い香りを放つ梅、艶やかでありながらどこか影のある妖艶な美しさを持つ桜、どちらも春を象徴する素敵な花で、日本人にとって格別な花であることは間違いありません。

梅の花の香りは同じく早春に咲く水仙などにも似た濃厚な甘さが特徴です。ジャスミンの香りにも少し似たところがあります。対して桜の花は甘味に加えて少し青臭さも感じる香りです。桜の香気成分のなかで特徴的なのがクマリンという成分です。クマリンは葉っぱを塩漬けにしたときに強く香るため、皆さんも桜餅の香りとしてご存知の香りです。お花にも微かにクマリンの香りはしますが、ソメイヨシノでは本当に僅かにしか香ってはいません。ですから、お花見で桜餅のような香りが楽しめるというわけではないのです。
さてこのクマリン、いささか厄介なことに毒性を持っています。そのため桜の木の下には下草が生えにくく、そういう意味では立派にお役目を持っている成分ではありますが、私たちがクマリンを扱うときには注意が必要で、添加物としても認められていません。
もちろん、この季節に桜餅と一緒に葉っぱをいただく程度では心配はありませんのでご安心ください。
そしてこのクマリンは桜とは全く異なる植物ではありますが、中央アメリカから南アメリカ北部に自生するトンカビーンズというマメ科の植物の精油にも含まれています。

せっかくですので、今日はこのトンカビーンズの精油を使ったルームスプレーのレシピもご紹介します。

作り方は
無水エタノール5mlに、
ゼラニウム 2滴
トンカビーンズ 3滴
スィートオレンジ 2滴
スペアミント 1滴
シダーウッド 2滴
を加えてよくかき混ぜたあと、
精製水を45ml入れてさらに混ぜ、
スプレー容器に移して出来上がりです。

お部屋にシュッとひと拭き
爽やかな春をお部屋で楽しんでみてください。

原田裕子

原田裕子

香司 / アロマセラピスト / 香りアドバイザー
会社員を経て、好きが高じて香りの世界へ。


調香、アロマテラピーと西洋の香りから始まり、現在は日本の香りを作る香司としても活動。


自然の恵みである香りを消費するばかりではない、"サステナブルな"香りのある暮らしを提案している。

法人向けに、オリジナルの香りの開発も行う。

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